Top of the Morning

 教えて古賀先生！「ラブスタ法律相談所」

本日のテーマ
交通事故の「危険運転」

今回は、交通事故の「危険運転」を取り上げたいと思います。法律の改正に向けて議論が開始したところです。


──── 「危険運転」という言葉は、最近、交通事故のニュースでも良く耳にしますよね。どういう法律なんでしょうか？

平成25年（2013年）に、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が成立しました。略して自動車運転処罰法とも言います。この法律3条が危険運転致死傷罪を設けています。令和2年（2020年）には改正され新たな行為も対象になっています。


──── 最近ではどのような事例があるんですか？

大分市の県道で時速194キロで走行した車両が、交差点右折中の車両に衝突して運転手を死亡させるという痛ましい交通事故がありました。大分地裁は危険運転致死罪の成立を認めた上、懲役8年の実刑判決を言い渡しています。全国的にもかなり大きく報道されたので耳にした方も多いと思います。

──── 県道を時速194㎞ですか！当然、危険な運転ですよね！

ところが、社会常識で危険な運転と、法律上の「危険運転」が必ずしも一致しないんです。


──── えー！どういうことですか？？

自動車運転処罰法2条2号の「進行を制御することが困難な高速度」とは、速度が速すぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難な状態と理解されています。そのため「道路の状況」として、常識的に見て極めて危険な高速度運転であっても、実際に進路を逸脱していない場合は適用が否定されるケースも相次いでいました。ですから大分地裁は、直線道路の事故に、「進行制御困難性」を認めていて、その意味で画期的な判決と言われているんです。


──── なんか難しいですが…直進道路だといくら高速度で運転しても、「進行を制御することは困難」という法律の要件を充たさないこともある。そのため法律上は、「危険運転でない」こともあったんですね。

はい、その通りです。


──── でも時速194キロって・・・ドライバーの常識的には異常な速度じゃないですか。この高速度だけで「危険運転」と認めて欲しい気もします。

──── そうなんですか。ちょっとほっとしました。

悪質・危険な運転行為は人の人生を変えてしまいますから、十分議論して頂いて、厳正な処罰ができるような法律にして頂きたいですね。そして何よりもドライバーは無理な運転をしない、不必要な速度を出さないということが大事だと思います。

番組では先生へ相談したい事を受付ています。
メールで 761@lovefm.co.jp までお送りください。

【第１回】交通事故のドライブレコーダーに関するアレコレ

【第２回】投資被害に関するアレコレ

【第３回】美容医療に関するアレコレ

【番組に届いたご相談】
　・駐車場でのドアパンチ
　・車検から戻った車
　・近隣の花びら

【第４回】電動キックボードに関するアレコレ

【第５回】子どもの共同親権に関するアレコレ

【第６回】Ｃ型肝炎裁判に関する話

【番組に届いたご相談】
　・ストーカー被害
　・電動キックボードのルール
　・パワーハラスメントのある職場

【第７回】「ながらスマホ禁止」の話

【第８回】「交通事故の弁護士特約」の話

【第９回】「個人の自己破産」の話

【番組に届いたご相談】
　・宝くじの共同購入
　・お金の落とし物
　・セクシャルハラスメント！？

【第10回】歯医者・歯科に関する話