古代の謎を解くキーワードは「直線」!?

2019.01.23[Wed] 00:00

1月13日の放送番組から気になった一部の内容を紹介します。

ゲスト 筑紫野市教育委員会 小鹿野亮 様

小鹿野:筑紫野市の原田という場所があるんですけど、そこには筑紫神社という神社がありまして、その筑紫神社の御祭神になっているのが、筑紫の国の神であります「筑紫神(つくしのかみ)」というのを祀っていますので、そこに筑紫(つくし)という音を残しているということにはなるんですけども、非常に重要な神社だというふうに思っているんですね。

山本:筑紫神社が重要な場所というのは、どういった意味があるのでしょうか?

小鹿野:これは地理学的な研究になるんですけど、筑紫神社があるところを中心に、国境が引かれているという考え方があるわけですね。しかもその国境は直線なんですよ。放射状にまっすぐ伸びるということが言われていまして、わかりやすいのは筑紫神社から筑紫野市の原田ですけども、南に行きますと、今の小郡市と佐賀県基山町の、言い換えれば県境になるんですが、まっすぐ南北に県境が伸びているところがあるんですよ。そのあたりにぶち当たってくるんですね。実はその国境線は古代の官道なんですけど、そういう意味で境目にある神社として古代から非常に重要なんですね。

それと筑紫神社自体は、平安時代の10世紀に書かれている延喜式という文献資料があるんですけど、延喜式に記載がされている神社なんです。朝廷から神様の位をもらっていますけど、言い換えれば平安時代からすでに、同じ場所かどうかはわかりませんけど、筑紫神社というのはあったということになりますから、そういう意味では古代史で、地域にとって重要なんですね。ましてや冠に筑紫という字がついておりますから、そういう意味で重要というのは、そういう理由ですよね。

山本:もうそのままの形で残っているんですか?

小鹿野:神社はですね、建物自体は新しいもので、だから全く古いものがそのまま残っているわけではありませんけれど、場所が非常に大事ということで。これは実は説話がありましてね、筑紫のその由来ともつながってくるんですが、国境の坂があまりにも険しくて、馬の鞍が擦り切れるんで鞍を尽くすと言ったのが転化して「つくし」になったという説があったりとか。もう一つが、荒ぶる神が境目にいて、人々が往来するのを邪魔して命を落とすというようなことがあったらしいんですね。命を落とす、命尽くすということからという説があったりとかですね。

それから筑紫神社の御祭神の筑紫神とですね、そういった伝説、今言っているのは、逸文といっている風土記が作られますね、それの断片的なやつを集めたなんですけれど、その中に記載があるそうで、古い呼び方としては「つくし」という言い方が音としては正しいのかもしれませんけど、ただ先程お話したように奈良時代にすでに「ちくし」と「つくし」が併存しているという状況もありますから、そのあたりは当時どういうふうに使い分けられていたのかが分かりかねるというのが現状なんですけどね。

益田:確証になるものがないということですか?

小鹿野:そうですね。筑紫神社がある場所というのが国境でもあって、名前がそのままついてますからね、古いということもはっきりわかっていますし、重要な場所だっていうのはやっぱりそういう意味でしょうね。

益田:先程筑紫神社がですね、延喜式という話がありましたけど、九州18か所あって、そのうち11が昔の筑前の国にあったということで、その一つが筑紫神社ということになりますね。そのあたりの位置関係なんかは私すごく興味があるんですが、例えば筑紫神社と竈門神社の上宮を結んで、その延長線上に筥崎宮があって、さらにその延長線上に実は志賀海神社があるんですね。一直線につながっているということだったり、同じ延喜式の中にある美奈宜神社なんかは、今度は筑紫神社から放射状に伸びていると。そういったことからも位置関係が重要なんじゃないかと思っていますけど、小鹿野さんはどう思われます?

小鹿野:難しい問題ですよね、これはね。

益田:証拠が出てこないので。でも偶然とは思えない。例えば筑前一之宮ですね、住吉神社と香椎宮は本殿の位置って志賀海神社を起点にすると距離が同じなんですね。2メートルから3メートルしか誤差がないです。

小鹿野:偶然ということはなさそうなんですけど、証明するのがやっぱり難しいところですね。古代の測量というのがどうだったのかということもあると思うんですが、実態がわからないというか。

益田:どういう測量法だったのかもわからないんですよね?

小鹿野:そうですね。測量道具が何を使っていたとか、そういうことも全くわからないものですから、何とも言いようがないんですね。ただ、直線というのは古代の謎を解く一つのキーワードになるだろうというふうには思っています。古代の道も直線、大宰府の都市も碁盤の目状にはなっていますけど直線ですよね。朱雀大路はですね、方位が適当に作っているわけじゃなくて、東西南北にぴちっと方位が合っているんですね。だからそういうことを考えると、おそらく今でいう天文学みたいなことなんかもやったんでしょうし、実態はわかりませんけどね。風水とか、これはたぶん技術だと思いますけど、取り込まれてはいたんだろうなという想像はするところなんですよね。

益田:結界をはるようなイメージですかね?街を、その都市を守る、神社を守るという。

小鹿野:今は街っていうと面というイメージがありますけど、古代の街っていうのは線でつながっているという、そういうイメージなんだと思っているんですよね。だからそういう意味で直線と、益田さんがおっしゃった神社の位置関係なんていうのも、やはり一直線上に並ぶっていうと、これは何かありそうだと。

山本:そうでうね。確かに、線と考えると何となくしっくりくる。

小鹿野:実際そこに古代の遺跡がどういうふうに広がっているかとか、私たちもいろんな視点をもって評価をしていかなければならないんだろうなというふうには思っています。

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  • 益田啓一郎
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  • 博多で企画執筆業。古地図や古写真の研究を通じて地元福岡だけでなく九州各地の歴史文化に興味精通。趣味は演劇鑑賞&音楽ライブ、ブラタモリ案内人。

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