福岡のFMラジオ局 LOVE FM。周波数76.1MHz。九州北部広範囲をカバーする10ヶ国語の多言語放送局。
TUE 21:00-21:30, Podcast
2014.09.22[Mon] 00:00
やあ。構成作家の団長やで。またまたブログサボりがちで申し訳ない。
でもね、ちょっと、今週の放送が始まる前にこれだけはもとに戻したかった。ペースだけは。
だってさ、今週で……。
へいへーい!
二週分溜まってるけど、イシダカクテル、宮Dの締めの一杯でーい!
これ、いっつも思ってるんやけどイシダカクテルだけ抽出してmp3とかで着うたダウンロードとかできひんのかな。あと締めの一杯も全部ラジオドラマ化…いや、締めの一杯は読み物だからいいんだ。わかってるぜ宮D。やいやい言うな。
ひとり After Story 締めの1杯
僕の隣に座る女性は、新たにカクテルを注文した。
どうしよう。こんな女性の横で、どんなカクテルをオーダーするのが、正解なのか。彼女と同じカクテルを注文すると、間違いはないだろう。ただ、そのカクテルは女性好みのカクテルで、男性がオーダーすると、この女性は僕のことをドン引きしちゃうかもしれない。しかし、まったくわからないカクテルをオーダーするほどカクテルを知らないし。。。悩む。
男性「知り合い?」
しまった!
この女性には、連れの男性がいたことを、すっかり忘れてしまっていた。それも遠くで観ていたよりも意外に体の大きなやつじゃないか。
女性「いま、お会いしたばかりよ。どうあなたも一緒に」
男性「それじゃ、失礼するよ」
連れの男性は、彼女をはさみ、彼女の隣に座った。少し離れて座ってくれてよかったと思いつつも、僕のことをどう思っているのだろうかと気になった。隣に座る彼女と、彼女の香水の匂いで、反対側に座る彼の雰囲気を、余計に読み取ることができない。
マスター「お客様、何になさいますか?」
私「おかわりで」
また!やってしまった。おかわりはビールになってしまうじゃないか!せっかくカクテルを注文しようと思っていたのに。
ずらりと並ぶお酒がため息をついたように感じた。「彼女と同じカクテルでもよかったんだぞ」。。。どこの国かわからないラベルのお酒が僕に語りかける。
この場を早く去りたいのだが、きっかけがつかめない。ビールを今度は半分まで一気に飲んだ。
女性「何か気をつかわせてますか?あ、私たちカップルに見えます?」
男性「俺の彼女に勝手に近づくな!。。って、そんなこと言いませんよ。僕らは、そういう関係じゃないですので」
どれが正解なのかわからないこの空間を、僕は少し勘違いしていたようだ。
お店の中にあるテレビでは、明日の予告先発が伝えられた。僕の知っている世界に戻れたと感じることができた瞬間、一気に飲んだビールの酔いがまわってきた。
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「彼女と同じカクテルでもよかったんだぞ」。。。どこの国かわからないラベルのお酒が僕に語りかける。って一文、宮Dの吉田リスペクトか!
御馳走様が聞こえない!
ファンタジー After Story 締めの1杯
店をあとにした僕はタクシーを捕まえた。
それなりに時間は過ぎていたが、夜明けまで、まだ時間があった。
タクシー運転手「お仕事ですか?」
男性「いや、まさか、この時間までは」
タクシー運転手「そうですか。今夜は不思議な夜でしてね」
聞いてもいないが、何かしゃべりたそうにしている運転手に遭遇することは、たまにあるが、今夜の運転手は、しゃべりたそうというより、むしろ僕に話を聞いてほしいといった感じで話を始めた。
タクシー運転手「先ほど初老の男性を、お送りしたのですが、お客様と、とてもよく似ていられた」
男性「僕とですか?」
タクシー運転手「そうです。そして、その男性は、こうおっしゃられておりました」
タクシー運転手は話を続けた。
今夜、その初老の男性は、ある青年に出会い忘れていた何かを取り戻すことができ、人生が救われたと。先に起こることなんて誰も予測はできない。悩んだり迷ったりすることは、年齢を重ねても、いつでも起こること。ただ、その局面において、いつも自分を信じて進むことができると道は開ける。人生なんて、誰かに評価されるものではなく、自分が評価できるかどうかのものであったと。
タクシー運転手「そして、その初老の男性を送り届けたところで、最後に1つ付け加えていてね。それが、このあと青年を乗せることになるだろうから、彼をここまで送り届けてほしいとね」
タクシーが停車したのは僕の家の前だった。
タクシー運転手「きっと、あなたのことでしょ?ここでよろしかったですか?」
男性「えぇ、ありがとうございます」
その時、メールが1通届いた。
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もう一生続くやつや!ずーっと続いていくやつやんか!
人生なんて、誰かに評価されるものではなく、自分が評価できるかどうかのものであったと。
ラジオ局のディレクターと、DJと構成作家。俺たちの冒険は今始まったばかりなんだ。
2014.09.08[Mon] 07:00
いやあ、申し訳ない。本当は一個一個紹介したいけど、僕が悪いよね。一挙公開。締めまくりの一杯たち。
特別なソルティドッグ After Story 締めの1杯
ドアを開け、眼を真っ赤にした彼女がカウンターの席に座る。
女性「お水を1杯くださる」
顔を上げた彼女に驚くマスター。
マスター「どうも人違いのようだ」
マスターは彼女に聞こえないように、僕に囁いた。
男性「え?!」
思わず出た僕の言葉に、彼女が気づく。
女性「ごめんなさい。今夜は少し悲しいことがあって」
僕が声を発するまで、彼女は僕の存在に気づいていなかったのだろう。
男性「あ、いえ。こちらこそ」
マスター「どうぞ、お水です。それと、これはあなたに」
マスターはお水と、グラスの縁に塩のついていないソルティドッグを差し出した。
今日、僕は彼女と別れた。
どうしようもない気持ちになり、このバーにやってきた。
「嫌や、嫌や」という気持ちは、マスターの特別なソルティドッグで少し和らいだ。
そんなときに来店した彼女。
僕の瞳に少し涙が残っていたのかもしれない。
お店に入ってきた彼女は、別れた彼女に見えた。
だが、入店した彼女は、別れた彼女に似た別の女性だった。
女性「マスター、これは?」
マスター「それは、特別なカクテルです。よね?」
マスターは僕に確認した。
男性「ええ」
マスター「それを飲みきったら、ご一緒にいかがですか?」
マスターは僕に新しいカクテルを差し出した。
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新しいカクテルは、新たな出会いを象徴し、そして全く同じ未来を辿る道しるべなのだ!
ワンピース After Story 締めの1杯
【大人になることは恋愛を多く経験することだと思っていた10代】
「そんなことないよ」
僕の部屋に、残していった彼女のワンピースが僕に語りかける。
もう彼女は、この部屋にはいない。
もう彼女は、この部屋にもどってくることはない。
わかっているのだが、部屋の隅々に彼女の思い出がよみがえる。
「未練がましい男ね。私なんかより、あなたにはきっといい人がいる」
声にならない声が聞こえてくる。
重症だ。
こんな日がいつまでも続くのだろうと思っていた、彼女に出会うまでは。
【恋の病に効く薬は、恋だと知った20代】
人を好きになることよりも、人に惹かれることを覚え、恋をする。
女性「あなたはやさしいのね」
出会ったばかりの彼女が僕に囁く。
同じことを、これまでにも何度となく言われてきた。
そして、彼女は僕に告げる。
女性「他に好きな人ができたの」
【人を好きになることを覚えた30代】
僕と付き合う女性は、いつも僕よりも半歩前の人生を歩んでいるように思えた。
なぜ彼女たちは、次を求めるのだろう。
わからない。
そして、人を好きになること。
恋をすること。
僕は、恋愛の経験を重ね、大人になったのだろうか?
わからない。
ただ、人を好きになることだけは覚えた気がする。
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結局生きていくことっていうのは色んなものをそぎ落としてルーチン化されることなのかもしれない。ガタガタ言わずに肉を食え。
いしだ ごうた
1979年6月3日生まれ、愛媛県出身
俳優/ラジオパーソナリティ
趣味/写真・ラジオ鑑賞
特技/バレーボール
99年、第2回公演よりヨーロッパ企画に参加。以降、ほぼ全本公演に出演。
多数の外部出演にくわえ、イベントでのMCや、ラジオパーソナリティとしての活動も多い。
また、「ヨーロッパ企画の暗い旅」などのバラエティでも活躍。